美しい旋律

0
1

世界には色々な音がある。私は視覚障害者だが、耳を澄ませばありとあらゆる旋律が聞こえてくる。街の音、人の声、心の叫び……目の見えない代わりに神様がくれたプレゼントを存分に楽しんでいる人生だ。
私がコンサートのライブへ行ったときのことだ。生のオーケストラの臨場感を味わっていた時、隣に座っていた女性が私に話しかけてきた。
「美しい音色ですね」
「とても興奮しています」
私はその女性に好感を持った。私が障害者であることを告白したら、彼女は快く受け入れてくれた。その日連絡先を交換して、何度も会って思い出を作った。
幾年後、私達は結婚した。
愛を育み、子宝にも恵まれた。私達はいつまでも穏やかな家族のまま互いを支え合う関係となった。あの日コンサートに行かなければ彼女と出会うことも無かっただろう。
私は視覚障害者だが、他人の心の旋律が何時でも聞こえる。愛、夢、ロマン……絶え間ない音色は永遠の時を刻む。
恋愛
公開:24/01/28 15:00
障害者 音楽

谷口文章( 北海道 )

小説家を夢見ています!
毎日作品1つを投稿していますが、バラバラなテーマです(笑)

気に入った方はフォロー等よろしくお願いします〜

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容