負け組の交響曲

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終わり。
手の平から滑り落ちた希望の粉は僕の眼前から崩れ去った。野望も夢見る明日も終了。所詮この世は泡沫。確かな事は、僕に明日の飯は無い、という真実のみ。
「空っぽの無……」
僕は部屋の天井を見上げて腹ぺこのお腹を擦った。さて、どうしたものか。ハローワークへ行こうか。非行行為に手を染めるか。落ち着け。チャンスと時間は十二分にある。絶望の淵に立たされても所詮僕も一端の男。ならば描いてみせよう桃源郷。僕はゆっくり目を閉じた。
「お前に出来る事は何だ?」
僕の心が言う。
「何をすべきだ」
僕は問い返すと、彼は言った。
「働けば金が手に入る。それだけの事だ。社会はそう相場が決まっている」
「……」
「最高で最善な選択肢をしろ」

あれから5日。心の声は希望。履歴書に写真を貼ってアパートを出た。
いつまでもニートでいられない。就職活動はここから始まる。
「君に幸あれ」
心は言う。光が見えた気がする。
その他
公開:24/01/31 15:00
ニート 就活

谷口文章( 北海道 )

小説家を夢見ています!
毎日作品1つを投稿していますが、バラバラなテーマです(笑)

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