世界の種子

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種子島でロケットの打ち上げが間も無く行われる。
隣にいる父の手に、ビー玉のような丸いものがあり、絵の具のような赤、緑、青、灰色たちがうごめいている。

「これは世界の種子だ。ロケットの中にはこの種子が乗っている。種子は宇宙に放たれて、いずれ星をつくるんだ」

図鑑でみた星の種がここにある。

「この種子は宇宙で暗黒エネルギーを土壌にして、宇宙から降り注ぐ放射線を栄養に成長するんだよ」

「この種子はどこからきたの?」
「星は寿命が来ると爆発して、種が時々、地球に届くんだ」
少女にはまだ難しい内容はわからない。それでも、

「じゃあ、星って生きてるの?」
「そうだよ、星は生きてる」
「庭にあるトマトみたいに?」

父は笑いながら頷いた。
世界の種子を乗せたロケットが轟音と共に打ち上がった。

「いってらっしゃーい!元気でねー!!」

少女の声は、打ち上げの音と共に宇宙をめざして飛んでいく。
ファンタジー
公開:24/01/23 15:43

空飛びペンギン( 関東 )

ご覧いただきありがとうございます。

俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。


名作文学の朗読Youtubeを行っています。
http://www.youtube.com/@akky_roudoku

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