愛の同化

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僕らは普段からテレパシーをしている。下校中に子供に虐められている亀を助けた喜びのように、人生を謳歌している。竜宮城へ行ったことは無いが、その玉手箱は僕の心に潤いを与えた。
「ガールフレンドが出来たんだ。今度紹介するね」
少しの沈黙の後、それを受信した。この会話は僕等2人以外誰も聞こえていない。聞こえるはずもない。こんな楽しい世界が他にあるものか。
「ボクラ、ズットトモダチ……」
「当たり前だよ」
その言葉が嬉しくて今日もドーパミンの活性した日々を送った。
そして朝。
彼女との登校デート中。僕の幸せな日常は早くも崩れ去る。
「テレパシーしてるって本当?」
核心を突かれる。驚きを隠せるほど演技も上手くない。
「バレバレだよ。なあET?」
気が付けば僕の周りに野次馬が集まっている。皆が興味津々だ。
「何で知ってるんでしょう〜?」
それ程僕への想いが強かったのだろう。
「ゴメンネ」

幸せすぎだ。
青春
公開:24/01/24 17:00

谷口文章( 北海道 )

小説家を夢見ています!
毎日作品1つを投稿していますが、バラバラなテーマです(笑)

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