怪我のわけ

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ドンッ!ピーーッ!!
「おい、大丈夫か!」
慌てて先生が駆け寄る。そして僕の擦りむいた膝を見て、困ったような顔をした。
「保健室で診てもらいなさい」
僕は頷いて、保健室に急いだ。
「またあいつかよ」
「ほんとにどんくせーなぁ」
そんな言葉を聞きながら、僕は保健室に急いだ。

保健室では、優しくて美人の先生が怪我の手当をしてくれた。
「はい。消毒してガーゼ貼っておくからね」
近付くと、薬品の匂いに紛れて甘い香りがする。
もうお分かりだろうが、僕はこの先生が好きなのだ。怪我だって、保健室に来る為の口実に過ぎない。
「それにしても、本当に君は危なっかしいなぁ」
そう言って微笑む先生は、本当に天使みたいだ。
天使の象徴であるリングが、彼女の頭ではなく左手にきらりと光る。

彼女は、来年の春、寿退職する予定だ。
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公開:24/01/26 07:51

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