守る女

ウチの隣に住む男の子はちょっと変わっている。帽子を目深に被り、その顔を見せようとしない。
外でならまだしも、室内でも帽子を取らないんだ。それが気に食わないと、いじめっ子に目をつけられた。
そんな彼をいつも助けた私。学校に来なくなった彼に毎日プリントを届け、勉強を教えたりもしていた。
彼も私だけには心を開いてくれたし、私だけには帽子の秘密を教えてくれた。
彼の秘密。彼は超絶イケメンだ。
帽子を目深に被っていないと、きっとそのあまりのカッコよさに女子が殺到するに違いない。
彼の秘密。彼は男メデューサだ。
メデューサと言えば普通は女性だが、三毛猫に雄が生まれるのと同じくらいの確率で男性のメデューサも生まれるらしい。
秘密がバレると彼は国の保護施設へと移送されるそうだ。
私も彼に会えない日々なんて考えられない。だから秘密は守る。
彼の瞳に見つめられた瞬間に、私の意志は固い石に変えられたんだと思う。