フランケンシュタイン・モンスターの恋人

フランケンシュタイン博士が作った名もなき怪物。彼は何故、恋人を欲しがったのか？
その答えは簡単だった。フランケンシュタインと呼ばれる怪物は電気で動くとされている。その電気は愛で補充される。
好きな人と手を繋ぐ。それだけで充電できる。キスなんてした日には過剰な電気が供給される。
あの怪物は人に一目惚れしたからこそ命を宿した。
恋の魔法とはよく言ったものだ。雷に打たれる感覚が死体を繋ぎ合わせた怪物を突き動かすのだから。
だがフランケンシュタイン博士は怪物の恋人を作ろうとはしなかった。
嫉妬の炎。恋愛への憧れ。それは怪物の身を焦がした。
人と触れ合いたいと願うも、誰もが怪物に怯え、恐怖する。
怪物が触れると、人はいとも簡単に壊れてしまう。怪物は誰よりも自分自身に憎悪していた。
物語の最後、怪物は博士の亡骸と共に焼け死んだ。
電気なく動かない体。己が内にある炎に身を焼かれ、自身の運命を呪いながら。