新鍵一転

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新年の門出に自宅の鍵を新調した。
人と共に運気の通り道となる玄関の鍵を改める事で、良縁を呼び込み悪縁を遮る『福鍵』というまじないだ。定期的な鍵の交換は防犯面の利点もあるし、鍵の寿命とされる十年の節目に、思い切って替える事にした。

初詣がてら神社へ参拝し、鍵供養と鍵替えをお願いする。
玄関から外された古い鍵の、さびや汚れや細かい傷を見ながら、この鍵と過ごした十年を振り返る。毎日我が家を守ってくれてありがとう。感謝を込めて合掌し、いざお焚き上げへ。
特製の炉に火が入り、鍵が収められていく。――カチャン。玄関を締める馴染みの鍵音が響き、銀の炎が高々と上った。

ご祈祷の後、炉から出された鍵はすっかり新品になっていた。
不死鳥のごとく生まれ変わった鍵の、真新しい輝きと温かい手触りを確かめながら家路につく。

おかえり。そして次の10年もよろしく。
守り袋に包まった鍵が、キィと小さく産声を上げた。
その他
公開:24/01/22 17:08
月の音色 月の文学館 テーマ:新しい鍵 朗読採用いただきました♪ 本年もよろしくお願いいたします

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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