天風の世界

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「天風さんですよね?」
 振り向けば、見知らぬ男の人が立っていた。
 いつもの登校中。私、小倉天風はごく普通の人生が壊れる前触れを知る事になる。どこにでもいる高校生。どこにでもいる女子生徒。顔のキャパは平均以上だが。
「私に何か用ですか……? 授業があるのですが」
「失敬。手短に済みます。私はこういう者です」
 差し出された名刺には谷口芸能プロダクション・マネージャーの守屋陸と書かれている。成程、そういう系ね。私は芸能界はからっきし興味が無かったが、スカウトの話は友達や家族への自慢話になると思い、胸を高ぶらせながら彼と別れた。

 1年後。私は大歓声を受けながらステージの上に立っている。
 アイドルという仕事は小倉天風という人間を一つ上のエリアへ誘ってくれた。同じ志を持つ仲間達と切磋琢磨しながらファンに笑顔と希望を届けるという、素晴らしい今があってこその人生だと痛感する今日この頃であった。
青春
公開:24/01/22 16:00

谷口文章( 北海道 )

小説家を夢見ています!
毎日作品1つを投稿していますが、バラバラなテーマです(笑)

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