非日常の前で

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「映画みたいなこと起こんないかな」

これが口癖だった。
毎日寝て起きてご飯を食べて学校へ行って時々遊んで帰ってまた寝て起きて。
その繰り返しに飽き飽きしていたのだ。

「まあ、そんなこと起こるわけないかー」

望むだけならタダだからと、私はその日もベッドの上で漫画を読んでいた。



そんな望んでいただけの私だから、こういう時に動けないのだ。
テレビの中で響く銃声。逃げ回る人々。泣き叫ぶ声。
それは憧れていた映画みたいななことではないけれど、決して無いわけでは無い、映画みたいなことだった。
そして私は悟る。
今この瞬間だって、何が起こるかわからない。
正に、映画の始まりの穏やかな時間に過ぎないのだと。
次の瞬間にどうなるかなんて、誰にも分からないのだと。
…私は静かに部屋に戻り、今の自分に何が出来るかを考えることにした。テレビの向こうの国に何が出来るか、いざと言う時に何が出来るのかを。
その他
公開:24/01/11 07:29

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