じまんじゅう

私は面接が苦手だ。自分の良さが分からず、自分をどう売り込んでいいか分からない。
特に優れているわけではない。が、悪いわけでもない。特筆すべきものがまるでない。自慢できるものが何一つない。
頭を悩ませる私に「これでも食べて休憩しよう」と饅頭を差し出す友人。ありがたく頂く。
…うん。美味い。頭に糖分が行き渡る。
もう一つ貰う。おっ！こっちはみそ味か。甘じょっぱさがこれまた堪らない。
饅頭を平らげ、熱いお茶で一息つく。
お腹が満たされると、気持ちにも余裕が出てくる。
そうすると私のいいところが思い浮かんでくる。自慢できる箇所を思いつく。
「じまんじゅうのお味はどうですか？」
じまんじゅう。自慢・饅頭。なるほど…そういう事か。
友人の問いかけに私は自己PRで返す。
「しっかり手前みそも効いているね」
まさかそこまで考えての事とは…これは友人に一杯食わされた。
友人の手腕にはいつも舌を巻くばかりだ。