火山

　王女アレサとドラゴンのゴランは、ある火山の洞窟内で迷いこんだ子供を探している。 アレサの体はすっかり汗ばんでいた。
「あの子はどこにいるのかしら･･････」
　しばらくして、低く唸るような音が鳴り響いた。すぐに振動が起こった。
「ヤバイぞ、アレサ！噴火までにもう時間がない！」
「まずい。このままじゃ溶岩に呑み込まれるかも！」
　アレサは大声で呼びかけてみる。
「誰かいるのー？」
ほどなく子供の声が聞こえてきた。 行ってみると、小さな男の子の姿が見えた。 男の子は泣きながらアレサにすがりつく。揺れがいっそう激しくなった。
「いけるの？ゴラン」
「いいから早く乗って！」
　ゴランは二人をのせると全力で上昇した。 下から溶岩が迫りくる。
　彼らはようやく火口から脱出し、直後に噴火が起こった。
「間一髪だったな」
ゴランはすっかり安堵していた。
アレサふう、と息をはいた。