機能

0
1

「おい、とうさん、ちょっと忙しいから、代わりにトイレに行ってくれ」
 本を読んでいたボクに、おとうさんが自分の部屋から声をかけた。
「え?おとうさんの代わりに……?」
「はは。冗談だよ、冗談」
 そう言うと、おとうさんは部屋を出てトイレに行った。
 また、本を読み始めていると、トイレから出てきたおとうさんが、ボクの所にきた。
「どうだ、おもしろかっただろ?」
「うん。まぁ、普通」
 ボクは正直に答えた。
「けど、不思議だね。いつも、おとうさんに頼まれて、新聞を取りに行ったりは代わりにできるのに」
「そうだなぁ。人間にとって本当に大事なものは、代わってもらえないのかもな」
 そう言うと、おとうさんは自分の部屋に行った。
 再びボクが本に戻ると、こんなことが書いてあった。
「パスカルの言葉に、『人間は考える葦である』というものがあります」
 へ〜。
 けど、どんどんAIに代わってもらってない?
SF
公開:24/01/15 06:08

shimany( 京都 )

ライブラリアン/アーティスト/クリエータ

わが子達に刺激されて始めます。
もう少し長いショートショートは、こちらです。

https://note.com/shimany/m/m5c907af8f7c5

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容