こたつロスを乗り越えた私の話

私が生まれた日に両親は犬でも猫でもなく、小型こたつを飼い始めた。
私と共に成長するこたつ。私達の関係は飼い主とペットではなく、家族そのものだった。
寒い日も暑い日も、私は一年中こたつと共に過ごした。
だから、こたつが死んだその日、私は悲しみに暮れた。
冷たくなったこたつ。電源を入れても温かくならない。
こたつ医から「もう長くはありません」と言われた日、覚悟は出来ていたつもりだった。
心と体が冷え込む。私を温めてくれるこたつはもういない…
こたつロス症候群。周りは新しいこたつを飼うように勧めるも、どうしてもその気になれない。
私にとってこたつは、あの子だけだ。
そんな私の前に現れた捨てこたつ。産まれたばかりなのか、まだ小さい。
なのにコイツときたら初対面の私に凄く懐いてくる。
もしかして、あの子の生まれ変わりなのかな？
このこたつに運命を感じた私は再び、こたつのある暮らしを始める決意をした。