雪女の慰め方

雪女の血を引く彼女は目から涙ではなく、雪を降らせる。
目からははらはらと落ちる雪はとてもキレイで、かつては密猟者によって狙われた時代もあったと話す。
だから彼女は人前で涙を流さない。感情を表に出さない。
氷の女。周囲からそう噂され、そんな彼女と付き合う私は変人と嗤われた。
「愛する人がバカにされ、傷つく。私は、私が傷つけられるよりそれが耐えられない」
別れ話をしてきた彼女。理由を聞くとそう答えられた。
ならば私も反論させてもらおう。
貴方が私の知らぬところで雪を降らせるほうが私には我慢ならない。
なぜなら私は密猟者だ。貴方の瞳を、私だけのものにしたい。
貴方を私以外の誰が守れるというのか？
私は彼女を抱きしめる。
彼女を愛しているから。彼女を一人にさせたくないから。
嬉し涙を流す彼女。私のぬくもりが彼女にも伝わっている証拠だ。
私は彼女に雪を降らさせない。その雪は全て、涙へと変えてみせる。