傘
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今日は牛肉の特売日だ。そういえばLINEで、18時までに行ってねって念を押されていた気がする。でも残念ながら、すでに残業で21時を過ぎていた。今日は残業ないよって妻に笑顔で応えたことを激しく後悔している。
「おじさん、傘忘れてるよ」
後ろから、ふと女の子の声が聞こえた。
「ん、どうしたんだい?こんな夜遅くに。それにこれは私のじゃないよ」
透明のビニール傘が、ネオンの光で新品のように輝いていた。
「本当はね…ママがいなくなったの」
「…えっ それは大変だ! と、とりあえず警察に行こうか…」
「いやだ、パパと一緒がいい!」
「おじさんはパパじゃないよ、だから…」
するとその子は、傘を持つよう私にせがんできた。取手の部分には、確かに私の苗字がひらがなで刻まれている。
「どういうことだ…?」
妻から怒りのLINEが来てもおかしくないのだが、今日はやけに静かだ。
「おじさん、傘忘れてるよ」
後ろから、ふと女の子の声が聞こえた。
「ん、どうしたんだい?こんな夜遅くに。それにこれは私のじゃないよ」
透明のビニール傘が、ネオンの光で新品のように輝いていた。
「本当はね…ママがいなくなったの」
「…えっ それは大変だ! と、とりあえず警察に行こうか…」
「いやだ、パパと一緒がいい!」
「おじさんはパパじゃないよ、だから…」
するとその子は、傘を持つよう私にせがんできた。取手の部分には、確かに私の苗字がひらがなで刻まれている。
「どういうことだ…?」
妻から怒りのLINEが来てもおかしくないのだが、今日はやけに静かだ。
ファンタジー
公開:24/01/09 04:25
2023/10/19に参戦した新参者です。忌憚のないコメントお待ちしております。
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