分け与える

私には、何でも分け与えたがる幼なじみがいる。
そんな大袈裟なことではなくて、小さい頃からお菓子やおもちゃをもらうと、私にもくれたり、使わせてくれたりしたのだ。
一度どうして私にもくれるのか聞いたら、「たのしいことはいっしょがいい！」と元気良く答えられた。
それが、彼女の良いところだった。


別々の高校へ進学してしばらく経った頃、幼なじみの訃報が届いた。
高校で勉強についていけず、ひどいいじめにあっていたらしい。
遺影の中の彼女は、昔私に色々分け与えてくれた時の顔で笑っていた。
それが、非常に腹が立った。
(何でも分けてくれたくせに、一番分けて欲しかったものは独り占めするんだ)
与えられるだけで何も知らなかった、出来なかった自分にも、非常に腹が立った。