ヒューマンドラマ―

部長はヒューマンドラマ―だ。人を叩くのがとても上手い。
今のご時世、叩けばパワハラと訴えられるが、それは叩き方が下手だからだと部長を見て思う。
私は入社してからというもの、何度も部長に叩かれた。
落ち込んでいると「大丈夫。君ならやれる」と肩を叩かれた。
絶望的な状況に呆然としていると「最後まで諦めるな！」と尻を叩かれた。
「調子に乗るなバカモン！」と思い上がった頭を叩かれる事もあった。
夢ばかり見ている社員に対し、目の覚めるような一撃を食らわせる事もある。
現実を見せられるも、まるでシンバルが鳴ったような心地よさを感じる。私も思わず膝を打つ。
バスドラムを叩くみたく踏みつけられる事もあった。負けるものかと雑草魂で立ち上がった。
部長の叩き方は絶妙だ。
そんな部長イムズならぬ部長リズムは、私が部長という役職に着いた際もしっかり音付いていた。
パワフルかつ繊細な叩き方を私は部長から学んでいた。