素敵なすき間

体が弱く、幼い頃から病院暮らしの私ではあるが、この生活は気に入っている。
ほぼ寝たきりなのに何がいいかって？
実は私、何度も生死の境を彷徨った事のある経験から自由に幽体離脱が出来る。
今日も体を抜け出し、屋上の展望カフェへと足を運ぶと幽体の友人達とお茶を楽しむ。ここは病院だから、私と似たような境遇の人も多い。
「君達、そろそろ体に戻りなさい。あまり遅くなると天使が迎えに来るよ」
そう私達に声をかけてくれたのは死神。この病院に住み込みで働いていて、人の生死の管理をしている。
管理と言っても、亡くなった人のお迎えを手配するだけの仕事なんだけどね。だから意外と優しい。
私はそんな死神とも仲良くなって、何度か天国や地獄にも連れて行ってもらった事がある。
天国も地獄もコンプライアンスがあるからどういう場所かは言えない。私から言えるのは現世が一番って事だけ。
両方を見てきた私が言うのだから間違いない。