きまぐれ看板

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仕事の佳境に入った年末、つい電車で寝過ごしてしまった。
降りたこともない駅の景色が車窓を流れていく。

ひとつの駅の看板が目に入った。
「きまぐれ喫茶店」
家に帰る前に、一息つこうと看板に惹かれるように喫茶店に入った。
思想に耽り、充実な時間を過ごせた。

次の日は、あえてその駅まで乗ってみると、
昨日あったはずの看板が変わっていた。

「きまぐれ書店」
その本屋にいくと、自分の時間を生み出すための矜持が描かれた本をみつけた。

後日、彼女とその駅まで行ってみた。
看板には「きまぐれ宝石店」

この看板は今の自分に必要なものを見せてくれているのだと思った。

忘年会の後、彼女と合流し電車に乗った。

あの駅に着いた。
看板には「きまぐれキャバクラ」

しばらくケンカが続いた。
ファンタジー
公開:23/12/26 14:51

空飛びペンギン( 関東 )

ご覧いただきありがとうございます。

俳優業の傍ら、趣味でショートショートを製作しています。
田丸先生の書籍を読んでから、楽しく作っております。
ご意見、ご感想いただけると嬉しいです。


名作文学の朗読Youtubeを行っています。
http://www.youtube.com/@akky_roudoku

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