幸せ政策

『本日より幸せ政策が開始となります。こちらは、幸せを感じた時に必要事項を役所に届け出れば幸せ手当が受けられるというもので…』
『幸せになることで手当を貰える。こうして世の中を明るく循環させていくのが狙いで…』
馬鹿らしい。
テレビを見ながら、私は呆れたような溜息を吐き出した。
きっとこの政策は、1年も保たないだろうな。



『先月より開始された幸せ政策ですが、政府の予想に反して国民からの批判が強く、政府はこの政策を一時停止させると発表しました』
ほうら見ろ。
理由は簡単だ。政府はこの政策で、意図せず「幸せの選別」を行ったから。
個々人にとっては幸せなことも、政府が決めた範疇でなければ幸せと見なされないから。
昔みたいに結婚することや、良い大学、良い会社に入ることだけが幸せでは無いのだ。
手元のスマホを見ると、やっているソシャゲで限定SSRを2枚抜きしていた。
「こういうのも幸せなのよ」