一郎さんの想い
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今日は大晦日。正行の両親が経営するそば屋は大繁盛だった。
正行は近所の高齢男性の一郎さんが常連客であることを知っていたので、庭の掃除に明け暮れている彼に声をかけた。
「一郎さんこんにちは。今日は大晦日ですね。良かったら、うちの温かいそばを」
「悪いけど遠慮しておくよ」
一郎さんは即答した。
「そうですか?うちのそばがもしかして」
「そうじゃない。さぁ、行った行った」
正行は一郎さんに一方的に追い払われた。
なぜ、そうされるのか、正行には理解できなかった。
その二週間後。一郎さんは老装で息を引き取った。
後に、正行は一郎さんの娘さんから、こんなことを聞いた。
「私のお父さんったら、ここ数年前から年越しそばを食べなくなったのよ。迎えが近い俺が食べるくらいなら、その分を子供に食べさせてやればいい、って言ってたわ」
正行は近所の高齢男性の一郎さんが常連客であることを知っていたので、庭の掃除に明け暮れている彼に声をかけた。
「一郎さんこんにちは。今日は大晦日ですね。良かったら、うちの温かいそばを」
「悪いけど遠慮しておくよ」
一郎さんは即答した。
「そうですか?うちのそばがもしかして」
「そうじゃない。さぁ、行った行った」
正行は一郎さんに一方的に追い払われた。
なぜ、そうされるのか、正行には理解できなかった。
その二週間後。一郎さんは老装で息を引き取った。
後に、正行は一郎さんの娘さんから、こんなことを聞いた。
「私のお父さんったら、ここ数年前から年越しそばを食べなくなったのよ。迎えが近い俺が食べるくらいなら、その分を子供に食べさせてやればいい、って言ってたわ」
公開:23/12/31 19:49
再出発です。数日に1作程度のペースで投稿していきます。公開時刻は(基本的には)午後7時から9時の間です。
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