電球豆

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八百屋に行くと、ピカピカと光を放つ豆を発見した。
不思議に思い店主に尋ねてみた。
「これは、ある農業試験場が試作栽培した『電球豆』と呼ばれる小豆だよ。豆電球をヒントに品種改良したんだって。小豆が熟しきるまで、こうして光り続けるよ。
遺伝子操作によって、さまざまな色で光るようにできるってよ。クリスマスツリーのようにカラフルに光らせることもできるだろう。イルミネーションの電飾みたいな感じだね。
ただ、本来の目的は、そこじゃないそうだ。防災対策らしいよ。
電球豆を停電時に使って、光らなくなったら食料にする。小豆なので、あんこや赤飯になるね。
そこで、電球豆を大量生産できるようにして国で備蓄するらしいよ。備えあれば憂いなしだ。
小豆以外に大豆や空豆、他の豆でも電球豆にできないか試しているらしいよ。
より長持ちする電球豆にするため、省エネで環境にやさしいLED(発光ダイオード)型を開発中なんだって」
その他
公開:23/12/23 07:01
八百屋 農業試験場 小豆 豆電球 品種改良 遺伝子操作 クリスマスツリー 大豆 空豆

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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