潜雲艦

今年も潜雲艦のチケットが取れたと妻と手を取り合い喜ぶ。
天国へとやってきて早１０年。毎年チケットは取れているが、取れなかった場合を想像するとやはり嬉しくなる。
潜雲艦は雲の中に潜み、地上の様子を観察する乗り物。望遠鏡も完備されているので、地上の家族の様子がはっきり見える。天国から地上を見るのとではわけが違う。
それに、儂らがいくら天国で見守っていても家族はこっちに目を向けやしない。青空なんて、そう何度も見上げるものじゃないからな。
だが曇り空だと、まだ雨は降っていないか？降りそうにないか？と何度も見上げてくれる。
青空より曇り空の方が、家族の顔がよく見える。
さらに手元にある二つのスイッチ。雷音と雷光を発生させるものがついてある。
雷が鳴れば誰もが空を見上げる。よく考えられている。
ちなみに今回、初めて冬のチケットが取れた。
冬の潜雲艦にはスイッチが１つ。粉雪を降らせるものだと教えられた。