素敵なすき間

「いいところに連れて行ってあげる」
もうすぐ日付が変わりそうな時間、私は親友に連れ出された。
いいところ。その言葉とは裏腹に、親友は不安そうな顔をしている。
トラブルに巻き込まれているのか？助けが必要なのか？
親友は何も答えない。手を伸ばし、まるで見えない扉を開くように、それの中へと私を招いた。
０：００で時計が止まった。時計だけではない。世界の全てが動きを止めた。
そんな中、私と親友だけが動いている。
「ようこそ。ここは今日と明日の隙間の世界。今日から明日へ続く、希望の世界だよ」
親友が夜空を指さす。見上げれば、そこには人々の希望が満天の星となって輝いていた。
「君とこれを一緒に見たかったんだ。もし君が、今日と昨日の隙間の世界の住人だったら見られなかったよ。今日と昨日の隙間の世界ってのは大きな海の中、思い出が波のように押し寄せるんだ」
親友となら、それも一緒に見てみたいと思ってしまった。