素敵なすき間

「お義母様…一体何用でしょうか？」
今日、息子の嫁を家に呼び出した。
聞けば近々、家を建てるそうではないか。それについて少し、口出しさせてもらおうと思ってね。
早速嫁に我が家の間取り図を見せた。
『今、私達がいる場所は茶の間です』
指で示すそれに嫁は頷く。
『この隣の部屋は、束の間と言います』
嫁が首を傾げる。
『束の間とは人と人を繋ぐ部屋です。今、茶の間と束の間を繋げています。こうする事で私達は女として主婦として結束を結べるのです。ウチのバカ息子が粗相したらすぐに言いなさい。私は貴方の味方よ』
「お義母様…」
私の言いたい事は伝わったようだ。
『あと束の間の反対側には隙間という隠し部屋があってね、茶の間と繋げば忙しい毎日でもホッと一息吐ける隙間時間が取れるわ。忙しい主婦には必須よ。息子には秘密で、作っておきなさい」
「なんで夫には内緒なんですか？」
『隙は易々と見せるものじゃないからよ』