幼馴染かもしれない…

アルバムをめくると写真の中、幼い私が公園の砂場で遊んでいた。
私の横には同い年くらいの子がいて「この子は誰？」と聞かれる度に私は「たぶん幼馴染」と答えた。
たぶん、とつけるのも無理はない。だって私にはこの子と遊んだ記憶がない。この子と話した記憶はおろか、会った記憶すらない。
この時だって、私は一人で遊んでいた筈…なのにいつの間にか、この子が写り込んでいた。
この写真だけではない。他の写真にも全部、この子が写り込んでいる。この前行った修学旅行の写真にも写り込んでいた。
班員達もこの子を知らないし一緒に行動した記憶もない。だから先生に聞いてみた。
「この子って…誰の事だ？」
写真を見る。あの子が消えていた。
家に帰ってアルバムを開く。全ての写真から、あの子が消えていた。

だが数年後、あの子が久しぶりに写真に写った。
私達の結婚披露宴の写真。それを見て夫が言った。
「この子、たぶん幼馴染」と。