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 初夏。晴れのち曇り。北海道十勝も過去の南国並みの暑さになってきた。地球温暖化のせいだろうか。
 そんな時、帯広の中学校の放課後。帰り際に音楽室で花子は太郎にあることを告白した。
「あのね~私、面白い物を発明したんだ」
「へえ、どんな?」
「この赤い靴よ」
「えっ!赤い靴に弦が4本張ってあるじゃない!」
「クツレレって言うんだ」
「どうやって音程を変えるんだい」
「靴の甲の部分を左手で押さえて、足の入る部分を右手で弾くの」
 そうして彼女は、クツレレを弾き始めた。曲目は『赤い靴』と『ブルーハワイ』だった。
 まさしく琴線に触れる名演奏だった。
「お見事!」太郎は賞賛した。
「どこで発表しようかな」
「YouTubeやTikTokを利用するのもありだけど、ストリートミュージシャンのほうがお客の反応がリアルに早いぜ」
「じゃあそうしようっと!」
 太郎と花子が空を見上げると、晴れが戻ってきた。
青春
公開:23/12/19 16:11

福良ビブラ〜ト( 北海道 )

 ペンネームの由来は、私自体ビブラートをかけて歌えるという特技があります。
 もう一つの特技のショートショートはお粗末ながらほんわかな物からブラックな物も書いちゃいます。
 そして継続は力なりです。
 よろしくお願いいたします

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