妃御用達業者の苦悩
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「え!毒リンゴですか!?」鏡越しのお得意様からの注文に俺は驚愕した。「ま、まあ私達の方で作れはしますが…その…なんで毒リンゴを注文したのかなって………いやいや!そんなお得意様のご注文をお断りするはずがないじゃないですか!はい!早急に作らせていただきます!」俺が言い終えると鏡はだんだんと俺の姿を写した。「いやー毒かー。俺犯罪者にならないよな…」ぶつぶつ呟きながらリンゴに透明な塗料を塗っていく。一応手がかぶれないように厚手のゴム手袋はつけているのだが、取り扱っている物が物なので細心の注意を払って作業していく。塗り終わったら後は風通しの良い所に放置するだけなのだが苦悩は続いていく。「いや俺は作れって強制されたわけだから。でも毒物を所持してるってバレた時点で終わりだよな。でも…」結局この悩みが解決したのは毒リンゴを郵送してから1ヶ月後であった。朝刊に載った元気な白雪姫を見て俺はにっこりとした。
ファンタジー
公開:23/12/10 23:47
超ショートショート書いていきます
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