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我主は狩猟から帰ってくると必ず狩った獲物をペットに与える。ペットはその獲物にかぶり付きムシャムシャと食い漁る。その光景を見て主はよしよしと頷くのだ。

昔は主が獲物を与えても口をつけようとすらしなかった。それもそうだ。ペットといっても草食動物の鹿なのだから。死んだ同族を見つめる事しかしなかった。しかし主はそれでも獲物を与えるのを止めなかった。当時は腐ったら私が処分していたので凄く記憶に残っている。与え続けて一週間経った位だろうか。鹿は観念して獲物に口をつけた。もうガリガリだったし、そうしなかったら死んでいただろう。ゆっくりちびちびと食べていた。あの瞬間は生命とはというものを感じてとても感動したものだった。それが徐々に食べるようになっていき、今に至るわけだ。

さて、私の話になってしまうが、最近主は私の食事を禁止した。その代わりとして石を与えられる。
そう、今度は私の番のようだ。
ホラー
公開:23/12/12 21:05

リマウチ

超ショートショート書いていきます

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