ドリームマッチ

『カツ、カツ、カツ・・・・』

「今日はナポレオンについて学んでいきます」
まちにまった日本史の後の世界史の授業の時間だ。

『カツ、カツ、カツ・・・・』

「えーナポレオンはフランス革命後に皇帝に即位し、多くの領土を手にしました」

ナポレオンはそんなにすごかったのか。

「自らも先陣に立ち、兵士の指揮を指揮を挙げていました」

勇敢な強い男だったのか。

『カツ、カツ、カツ・・・・』

いい加減うるさいな。

「お主、やるのお」
「あなたもだ」

僕の机の中で、ナポレオンと織田信長が戦っている。
さっきの日本史の授業で教科書から飛び出した信長が、
限界まで使ったミニ鉛筆を愛刀のように握っている。
一方ついさっき飛び出したナポレオンの手には、変形させたクリップ。

僕の机でドリームマッチが行われている。

「来週は文化の側面から、ショパンを学ぶぞ」

小戦争のワルツはまだまだこれからだ。