スキマ・スキーマ

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スキマ時間を彩るアプリをスマホに入れた。
カレンダーの空白部分に、AIが架空の予定を書き込んでくれる。スケジュールがびっしり埋まらないと不安や淋しさを感じる、空白恐怖症の治療用に作られたアプリらしい。

現実の仕事やプライベートに影響しない様、書かれる予定は他愛もないものだ。
ナイトシアターで映画を観る。バーゲンで自分へのご褒美を買う。カフェのテラス席で新作スイーツを食べる。学生時代の友人に手紙を出す。持ち主の趣味や生活パターンに応じた、ささやかな非日常を並べてくれる。あくまで画面上の予定だけれど、実際に自分が体験した様なプチリア充気分を味わえるし、時には思い切って、スケジュール通りに行動してみるのもまた楽しい。

不思議なもので、常に予定が詰まっていると、たまにぽつんと空いた未定日が、返って貴重で贅沢な時間に思えてくる。
今日は何もしないをする日だ。白紙のマスを眺め、ゆっくり伸びをした。
その他
公開:23/12/11 18:30
月の音色 月の文学館 テーマ:素敵なすき間 スキーマ(schema): 心象・概念 朗読採用いただきました♪

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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