天使の羽で作った羽ペン

善良なる少女に、天使である私は私の羽で作った羽ペンをプレゼントした。
天使の羽ペンで書いた手紙は天国へと届けられる。

少女は羽ペンを手に「これで天国にいるお母さんに手紙を書くんだ」と笑った。
残念だがそれは叶わない。何故なら君のお母さんは生まれ変わっている。残念だけど、その手紙は届かないよ。

少女は羽ペンを手に「じゃあ、天国にいるお父さんに手紙を書くんだ」と笑った。
残念だけどそれは無理だよ。何故なら君のお父さんは地獄にいる。私の羽ペンで書いた手紙は天国には届くけど、地獄には届かないんだ。

少女は羽ペンを手に「なら、天国にいるペスは？」と聞いてきた。
ペスは天国にいるね。だけど、犬に手紙なんて書いたところで犬は字を読めないよね？その手紙は意味ないよ。

少女も羽ペンを私に返してきた。私はそれも翼に戻す。
インクで真っ黒に染まった私の羽。
いつしか皆が私を堕天使と呼ぶようになっていた。