カロリー草

牛ステーキ。まぐろ寿司。うなぎ。鱧。メロン。冷凍フォアグラ。

ここ数日、私がカロリー草に食わせた品々である。
品種改良によって生まれたカロリー草。
赤黒い大きな壺のような消化器官は、人間が食べれるようなものなら何でも溶かして養分にする。

カロリー草は十分な養分に達すると深紅のきれいな花を咲かせる。

しかし十分な養分を供給するのは、かなり家庭では難しく、ほとんどが道半ばで枯れてしまう。

＃カロリー草チャレンジと題されて、SNSで流行り始めたので私もやってみることにしたのだった。育成ゲームをやっているようで、だんだんのめりこむようになった。

「おいしそうなものはあげてるんだけどなあ」

もうすぐ開花しそうなほど、つぼみは膨らんでいる。
早く自分の手であのきれいな深紅の花を咲かせてみたい。

ふと、私を食わせてみたら、と考えてしまう瞬間がある。
危険な考えだが、あの花の魅力に、私は。