大衆欲場

温泉施設を兼ねたウチの寺には煩悩を洗い流しにやってくる人が多い。
沐浴で身体を清め、サウナに入ってはいい汗を流し、水風呂に入ってととのわせる。
ただの気休めだと思っている人が多いが、ウチの寺では本当に煩悩を落とす事ができる。
その証拠にギャンブルにのめり込んでいる人がウチの施設で身体をしっかり洗うと見た目からして垢抜ける。
とはいえ、再び賭場に入ってしまえば再び欲望が沁みつくんだけどね。
そうして集まった煩悩・欲望を使い、私は山の絵を描いている。これが表すは人生山あり谷あり。
この山は欲望の象徴。過ぎたる欲望は山から滑落するかの如く人生を破滅させる。煩悩は登山と同じで無理なく楽しむのが一番である。
なお、皆に絵を褒めてもらいたいという欲望が高まり過ぎて、私は巨大な山の絵を描いている最中に梯子から落ちて骨折した。
だからあの山の絵。行き過ぎた欲望と同じで痛々しいだろう？もう続きは描かないよ。