しずかにおやすみ
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鳴り止まないラップ音、勝手に電源の入る家電、謎の呻き声。その部屋で就寝しようとする度に起きる怪現象に、私は完全に疲弊していた。
入居前、ここが事故物件であるとは聞かされていたが、こんなにうるさいとは思わなかった。
ああ、静かに寝たい――。
私は勢いよく布団を捲って上半身をムクリと起こした。
「ほら、寝るよ。おいで」
敷布団の端に寄って開けたスペースをポンポンと叩き虚空に向かって呼びかける。ピタリとラップ音がやみ、ザワザワと困惑する声が聞こえる。
「良い子だから、早くおいで」
家電の電源が一斉に切れ、ドタドタと複数の足音が近付いて来る。どすんどすんと見えない何かが布団の中へと飛び込んでくる。
静かになった室内に私はホッと安心し、敷布団の隅に寝転ぶ。
オヤスミ、と聞こえた呻き声に「おやすみ」と返した私の心は、久々の穏やかな夜と賑やかな同居人達を抱いた柔らかな温もりに満ちていた。
入居前、ここが事故物件であるとは聞かされていたが、こんなにうるさいとは思わなかった。
ああ、静かに寝たい――。
私は勢いよく布団を捲って上半身をムクリと起こした。
「ほら、寝るよ。おいで」
敷布団の端に寄って開けたスペースをポンポンと叩き虚空に向かって呼びかける。ピタリとラップ音がやみ、ザワザワと困惑する声が聞こえる。
「良い子だから、早くおいで」
家電の電源が一斉に切れ、ドタドタと複数の足音が近付いて来る。どすんどすんと見えない何かが布団の中へと飛び込んでくる。
静かになった室内に私はホッと安心し、敷布団の隅に寝転ぶ。
オヤスミ、と聞こえた呻き声に「おやすみ」と返した私の心は、久々の穏やかな夜と賑やかな同居人達を抱いた柔らかな温もりに満ちていた。
その他
公開:23/11/30 11:01
お話を書くのが好きです。
いつかお話書きを仕事にしたいです。
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