６０年目の結婚記念日

今日で僕ら夫婦は６０回目の結婚記念日を迎えた。
今日という日を迎えるまで夫婦喧嘩をした事もあったし、大病を患った事もある。それでも僕らは夫婦であり続けた。
その事に一番驚いたのは妻の実家だ。実は僕の妻、雪女なんだ。雪女の妻はいつまで経っても変わらない美しさを保っている。
肩や人間の僕は歳を取りすぎた…一緒にいれば僕が介護されているようにしか見えない。
人間と雪女の結婚なんて上手くいくわけがないと義母は思っていた。
だけど妻は歳を取った僕をも愛してくれている。僕も妻を心から愛している。だから１日でも長生きしようと頑張っている。長寿健康の秘訣は妻への愛さ。
そんな僕らを祝うべく、義母がダイヤモンドダストを見せてくれた。
ダイヤモンド婚の今日にふさわしくはあるが、これじゃ僕が妻に用意したダイヤの指輪が霞んでしまう…
「そうね。貴方の顔が霞んで見えるわ」
妻は僕のプレゼントに嬉し涙を流してくれた。