ハーフ＆ハーフ

私の半分は魚で出来ている。
私だけじゃない。この島に住む者は皆、半分が魚で出来ている。それが当たり前と思っていた。本土に住む人達はそうでないと知って驚いた。
本土に行った事のある叔母は「人魚だと持て囃され、半魚人だと不気味がられ、人として見てもらえなかった…」と涙ながらに語った。
だから私は本土に行こうと思わない。島での暮らしが気に入っている。出て行く必要ない。
今日も下半身が魚の愛犬、ポチと一緒に海の中を散歩する。サンゴ礁を駆け回るポチは凄く楽しそうだ。
そんなポチが人の足の生えた魚を捕まえて食べた。するとポチの下半身が人間のものなった。
上手く泳げなくなったポチを抱き陸に上がる。ポチはすぐさま人間の足で浜辺を走り回る。やっぱり犬だな…
さっきの魚を食べれば私の下半身も人間のそれになるだろう。
だけどそうはしない。私は上半身が魚、下半身がタコみたく８本の腕の生えた今の姿を気に入っている。