ハーフ＆ハーフ

「ただいま。これ、お土産」
仕事から帰ってきた夫が紙袋を差し出してきた。中を見ると紅茶葉が１袋入っていて、私はそれに驚いた。
「ちょっとこれ！どうしたの？」
夫を問いただす。だってそれはインド政府公認の高品質紅茶。
値段も高く、誕生日でもない私にポンと買ってきていいものではない。
「この前、紅茶博覧会に行った時、それ欲しがっていただろう？僕は別の茶葉の方が良かったんだけど、君と、君のお腹の中の赤ちゃんが凄く飲みたそうにしていたからさ、多数決で負けちゃっているし、買ってきちゃった」
夫の心遣いに涙が出そうになる。
「ありがと。早速淹れるね」
「僕がやるよ。君は休んでいていいよ」
「ううん。私に…私達にやらせて。お腹の中の赤ちゃんも一緒に紅茶淹れたいって言ってるの」
お腹の中、赤ちゃんが元気に足を動かす。
紅茶、半分こしようね。と、呟いて、母子（おやこ）初めての共同作業に取り掛かった。