6
2

逃亡中の詐欺師が、街中に停まっていた自転車を盗み走り出す。
とにかく遠くへ!…そう思っていたはずなのに、自転車は勝手に進路を決めて進み出した。降りようとしても何故か降りられない。見覚えのある風景が近づいてくる。マズイ、ここは…。とある家の前で自転車は止まった。

「動けっ!動けよー!」

詐欺師の大声に、家主が現れる。

「お前は…!この間、俺から金を騙し取った奴っ!」

怒りの形相で迫る家主に、詐欺師はボロボロ泣きながら謝った。途端、自転車から降りることができた。実は、この自転車は「真実の口」を基に開発された「真実の自転車」といって、嘘つきが乗ると嘘で悲しませた人へ謝罪するまで降りることができない。善良な市民を守る為、警察が街中に配置したものだったのだ。

――チャリリーン!

自転車のベルが鳴ると、家主の前には騙し取られたお金が現れ、音を聞きつけた警察官により、詐欺師は御用となった。
その他
公開:23/11/23 19:46

ネモフィラ(花笑みの旅人)( 気の向くまま )

読んでくれてありがとう!

寒い季節になったから、気が向いた時にふらりと立ち寄ってゆるーく投稿しています。

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容