好きだと思っていた気がする

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廃れた木造アパートに僕達は集まった。
久しぶりに見た。幸せな光景。
祖母が僕に言う。
「元気にしてた?身体は大丈夫?お仕事は順調?」
父が代わりに答える。
「ずっと遊び回ってるよ。落ち着けって言ってるのに聞きやしない。」
祖母が反応する。
「遊ぶって、キャバクラ行ってるの?」
父が答える。
「さあね、お前いつも何処に行ってんの?」
父が僕に聞いてきた。
「仕事だよ。」
二人は笑い出した。
息を合わせ、言葉を交わし、僕に視線を向けている。僕の言葉を信じているのかどうか、確信を得られない反応。何を期待しているのか、分からない関係性。どうしたら良かったのか、どうすれば報われただろうか。
今は亡き人への願望から生まれた幸せな夢。
此処でなら、祖母に会える。
此処でなら、父の愛も期待できる。
その他
公開:23/11/19 22:43

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