腹抱エール

「ふう、大発明ができた」博士は満足気に呟いた。ちょうどそこに隣人が訪ねてきた。「どんな発明なんですか？」「腹抱エールじゃよ。これを飲むとどんな気難しい人でもたちまち気分が良くなり、笑い上戸になる。接待なんかに持って来いじゃ」それを聞いた隣人は嬉しそうな顔をした。「実は欲しいゴルフクラブがあるんですが、ケチな妻がどうしても首を縦に振らないんです。お願いします。少し分けてください。今晩、私の妻で試してみます」博士は腹抱エールを渡し、隣人はホクホク顔で帰っていた。翌日、博士が新しい発明に取り掛かっていると、暗い顔をした隣人がやってきた。「どうしんたんじゃ。失敗作じゃったか？」「いえ、博士。効き目は抜群でした。妻はいつになく大笑いしていました。しかし。気分が良くなり過ぎたのかネットで自分が欲しがっていたものを次々に注文し始めたんです。私はそれを止めるのに必死で…」「それは…かか大勝じゃな」