20XX.太陽への旅路

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 くたびれた深夜。ふらつく足下は古代の質屋へ。煌々とした光に奇麗に照らされる、ショーケースのひとつに心がときめく。
「月の下に生きるすべての大人へ、太陽の欠片を贅沢に抽出した時間帯別のフレーバー」。迷いながら、ひと缶つまんだ。午前様の華金くらい、よいではないかと悪魔が囁いたから。
 缶に密封された年代物のクラフトビール。「今を生きるすべての大人に、冷えた月の下でも太陽が昇るよう願いを込めて。」綴られた職人の愛がスティール越しに伝う。

 ・始まりを告げる澄んだ空気に淡い陽と風を掬ったAM 6:00の酸
 ・白昼の柔らかな陽だまりと擦れる葉たちの合奏を掬ったPM 2:00の甘
 ・終わりを告げる黄昏に数滴のハッピーアワーを垂らして掬ったPM 5:00の苦
 
 家まで待ちきれず仄かに灯る街、太陽を開けた。
 月光の下、黄金の湖がスティールでさざめく。

 AM2:00の紺桔梗、太陽への旅路。
SF
公開:23/11/19 21:49

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