コップ【入力】
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俺は物珍しいコップを買った。何でもこのコップを口に覆ったらどれだけ叫んでも声が漏れないそうだ。試しに思いっきり叫んでみた。おお、不思議と全く自分の声が聞こえないではないか。俺は少し歌ったりなどして遊んだ後床についた。次の日、会社で上司にイビられた。くそ、あいつの責任だろ。俺はストレス解消にコップに向かって叫びまくった。かなり口悪いことも言っていたと思う。けど音は漏れることなかったからそれから何日もコップに向かって叫び続けた。もはや夜寝る前の日課になっていた。趣味もなく、他のストレス解消方法を持たない俺としたら少しそのコップに依存していたんだと思う。ある日俺は不意にコップを床に落としまう。パリンという小さな音と共にコップは割れてしまっていた。不思議と気分はそこまで落ち込まなかった。むしろ今までの日課がなんだか恥ずかしく思えてきた。俺は割れたコップを片付け床についた。
ファンタジー
公開:23/11/19 21:21
超ショートショート書いていきます
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