ハーフ＆ハーフ

これより話すは昔々、人を困らせた悪戯狸の話でございます。
この狸、変化を得意としておりまして、よく人を騙しておりました。
木の葉を小判に変化させ、それで飲食をしては「釣りはいらねぇぜ！」なんて小粋な事を言って店を出る。
だが捕まえようにも変化が得意な狸。文字通り尻尾を掴ませないそのやり方に人々は頭を悩ませ、さらに隣にいる人間は狸が化けたものかもしれないと疑心暗鬼に陥る始末。
そんな人々を尻目に今日も無銭飲食を働く悪戯狸。
饅頭売りから饅頭を桶ごと買い取り、饅頭を胃の中に全て納めては空になった桶に饅頭に変化させた石を入れる悪戯狸。
気前よく桶ごと買ってくれる大旦那に饅頭を渡し、まんまと金を手に入れた。
だがその金はものの数分で木の葉へと早変わり。しかもさっき食った饅頭まで胃の中で石へと早変わり。
腹が重くて動けなくなった二匹の狸。
これがホントの痛み分け。ハーフ＆ハーフなお話でございました。