仏の顔も三三九度
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ビール大好きな彼氏が、なぜか最近まったく飲まなくなった。具合でも悪いのだろうか。
ある晩、私が彼氏の部屋で料理を作っていると、
「お前、いい加減に消えろよ」「そう言われてものう」
スマホも持たずに一人でモゴモゴ言っている。心配で思わず声をかけた。
「ねえ、いったい誰と話してるの?」
そこで振り向いた彼氏を見て、私は悲鳴を上げた。
「ああ、驚かしてすまない」
そう言ったのは、彼氏の喉から生えた2本の手だった。合掌のポーズで謝られる。
「それ、何なの!?」「クラフトビールの美味さを求めて、喉から手が出てきたんだ」
そんなギャグみたいなと思ったが、合わせた両手の間からのぞく喉には仏の顔があった。
「あのフルーティーな喉ごしを早く味わいたいのう」
喉仏が待ちきれなさそうに言った。
「仏のくせに」
「そんなことより、ほれ、いつプロポーズするのじゃ」
シラフの彼氏の顔が真っ赤になった。
ある晩、私が彼氏の部屋で料理を作っていると、
「お前、いい加減に消えろよ」「そう言われてものう」
スマホも持たずに一人でモゴモゴ言っている。心配で思わず声をかけた。
「ねえ、いったい誰と話してるの?」
そこで振り向いた彼氏を見て、私は悲鳴を上げた。
「ああ、驚かしてすまない」
そう言ったのは、彼氏の喉から生えた2本の手だった。合掌のポーズで謝られる。
「それ、何なの!?」「クラフトビールの美味さを求めて、喉から手が出てきたんだ」
そんなギャグみたいなと思ったが、合わせた両手の間からのぞく喉には仏の顔があった。
「あのフルーティーな喉ごしを早く味わいたいのう」
喉仏が待ちきれなさそうに言った。
「仏のくせに」
「そんなことより、ほれ、いつプロポーズするのじゃ」
シラフの彼氏の顔が真っ赤になった。
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公開:23/11/19 23:43
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X:@rara3322204150
ゲンロンSF創作講座第7期生
作家の藍銅ツバメ先生(「鯉姫婚姻譚」発売中)に、拙作「トリの子」の扉絵を描いていただきました。
monogatary.com様にて
みとゆな様小説朗読コン優秀賞/旧rara33: モノコンVlogドラマ賞監督賞/【MIYASHITA PARK空想映画祭】出演ポスター最優秀賞
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