目からウロコ

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フミは、トーストとコーヒーというシンプルな朝食を食べながら、朝の情報番組を観ていた。ふと昨日の上司との会話を思い出す。「その考え方は目から鱗だね」と上司は言った。その「目から鱗」という言葉が何故か気になって、小さな違和感のようなものが心に残っていたのだ。 手についたパンくずを払い、スマホに手を伸ばして「目から鱗」と検索する。ー「急に視野が開けて、物事の実態が理解できるようになること」の例えー。
体を守るための鱗が、目まで覆ってしまい、物事の本質を見失ってしまう。 人は自分の考えを正しいと思いたい=守りたいがために、見たいものを見るようになり、視野にフィルターを掛けている。
テレビに視線を戻し情報番組を観ながら、思いに耽ってしまった。 食べ終わった食器をシンクにおいて、そそくさと洗面所に向かう。手慣れた手つきでコンタクトを目に入れて、クリアになった視界で、フミは玄関の戸を開けた。
その他
公開:23/11/19 03:00

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