こけしビール

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「テンさーん!ビールよー」
こけしのハナコがオレを呼ぶ。
「あのさー、前回オレに毒盛ってお酒飲めない身体にしたの誰よ!飲めるわけないだろっ!」
「大丈夫!アルコール入ってないから」
「ノンアルなのね。で、どこ?」
「わ・た・し」
「どこから開くの?首と胴を捻ればいいの?」
「だから、わ・た・し。クラフトビールです」
「こけしだからクラフトなのはわかるけど」
「そのまま、グイッといっちゃって下さい」
「だから、どこからビール出るのよ」
「私を一気に丸呑みして下さい。頭の円形で喉越しスッキリ、ボディから漂うウッディな香りが味わえます」
「ハナコ、オレを白蟻か何かと勘違いしてる?」
「いえ。テンさんのー、ちょっといいとこ見てみたいー!イッキ!イッキ!」
「真顔で答えるなよ。コール古いしっ!イッキじゃなくて、逝くだろ!」

卓上のコンロで煮ているおでんの湯気が、楽しそうなハナコとテンを包んでいた。
その他
公開:23/11/19 16:46
更新:23/11/19 21:54
クラフトビール こけしのハナコ ジャージに無許可

さささ ゆゆ( 神奈川 )

最近生業が忙しく、庭の手入れが疎かな庭師の庭でございます。

「これはいかんっ!!」と突然来ては草刈りをガツガツとし、バンバン種を撒きます。

なので庭は、愉快も怖いも不思議もごちゃごちゃ。

でもね、よく読むと同じ花だってわかりますよ。


Twitter:さささ ゆゆ@sa3_yu2





 

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