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「どうぞ」
目の前には、煉瓦色の飲み物。
このバーは知る人ぞ知る特殊な店で、オーダーするとその客にいまぴったりのクラフトビールを出してくれるらしい。
そのうえ、客の身の上をぴたりと当てたりする。
なんだか占い師のようなマスターだ。
ずっと気になっていたが、今日はじめて来てみた。
グラスを傾けると強い青々とした爽やかな香りが鼻にくる。
「失礼ですが…身近に亡くなられた方がいらっしゃいますか」
入り口のほうに目を向けながら、マスターがたずねた。
「え? 昨年、じつは恋人を亡くしまして…結婚しようとしていたんですがね。直前に病気で」
「そうですか…」
マスターは言葉を続ける。
「この独特の香りはローズマリーのものなんですが、ローズマリーには“再生“とか“再挑戦“という花言葉もあるんですよ。大変なことがあっても次がありますから」
そして棘のような葉の小さな紫色の花を、供えるそうにして置いた。
目の前には、煉瓦色の飲み物。
このバーは知る人ぞ知る特殊な店で、オーダーするとその客にいまぴったりのクラフトビールを出してくれるらしい。
そのうえ、客の身の上をぴたりと当てたりする。
なんだか占い師のようなマスターだ。
ずっと気になっていたが、今日はじめて来てみた。
グラスを傾けると強い青々とした爽やかな香りが鼻にくる。
「失礼ですが…身近に亡くなられた方がいらっしゃいますか」
入り口のほうに目を向けながら、マスターがたずねた。
「え? 昨年、じつは恋人を亡くしまして…結婚しようとしていたんですがね。直前に病気で」
「そうですか…」
マスターは言葉を続ける。
「この独特の香りはローズマリーのものなんですが、ローズマリーには“再生“とか“再挑戦“という花言葉もあるんですよ。大変なことがあっても次がありますから」
そして棘のような葉の小さな紫色の花を、供えるそうにして置いた。
ホラー
公開:23/11/19 11:40
更新:23/11/19 12:46
更新:23/11/19 12:46
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