ビール探偵最後の挨拶

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「クラフトさん、ホップ警部がお見えです」
秘書のミス・カボスに案内されて、警部が部屋へと入ってきた。
「こんにちはクラフトさん」
「ようこそ警部。かけてください」
ソファに座るなり、警部はため息をついた。
「クラフトさん、今回の連続強盗事件私にはお手上げですよ」
「元気を出してください警部。ありがとうミス・カボス」
クラフトは紅茶を一口すする。
「私に解決できない事件はありません。必ずこの犯行も止めてみせます」
クラフトは缶ビールを取り出した。いかなる時もビールを手放さず、どんな事件も見事に解決するその姿から、彼は別名”アル中”と呼ばれている。
「あら、ダメですよクラフトさん」
「なぜですかミス・カボス」
「医者に止められてるでしょう」
「……」
「今回も迷宮入りか……」
「一口だけ」
「ダメです」

私立探偵エール=クラフト。彼はこの前の健康診断で、目も当てられないほどの診断結果だった。
ミステリー・推理
公開:23/11/16 21:18
クラフトビール

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